2024年3月16日 北陸新幹線が敦賀駅まで延伸開業をしました。しかしながら、北陸新幹線の敦賀以降のルート(敦賀以西)が、小浜・京都ルートを通って大阪までと決まっていたのが、いざ着工に移ろうとした段階で待ったがかかり、どのルートを通るのか不透明になってしましました。このサイトでは敦賀以西の必要性や問題点をウォッチしていきます。
何が問題なのか?
このままルートが決まらないと、着工が出来ずに、北陸新幹線がずっと敦賀止まりになってしまいます。また、過去に「小浜・京都ルート」で着工と決めていたことが、実場面になって宙づり状態に。現状誰もルートについて判断が出来ない状態になっています。
北陸新幹線は、1973年(昭和48年)に全国新幹線鉄道整備法(全幹法)に基づき、「高崎市付近・長野市付近・小浜市付近を経由し、東京と大阪を結ぶ路線」として整備計画が決定されました。それから、東京駅(高崎駅)~長野駅(1997年)、~金沢駅(2015年)、~敦賀(2024年)へと順次開業し、整備計画決定からおよそ半世紀を経て、北陸新幹線は敦賀まで到達しています。
しかし、計画の終着点である大阪までの延伸ルートは依然として確定しておらず、「敦賀以西」の在り方が大きな課題として残っています。

なぜこうなったのか?
北陸新幹線は整備新幹線と呼ばれ、現在全国で5線路あり、全線開通が2路線、一部開業が3線路であり、北陸新幹線の敦賀~大阪間が含まれます。整備新幹線の建設は、鉄道建設・運輸施設整備支援機構が行い、建設した施設をJRに貸し付ける方式で運営されています。建設費用は、国と地元自治体が2対1の割合で負担します。
上記のことから、着工5条件というものがあります。
①安定的な財源の確保
整備期間を通じて、事業を継続できる安定した財源の見通しが必要。
②収支採算性の確保
開業後も新幹線の経営が持続可能であるよう、営業主体の収支採算性を確保することが求められる。
③投資効果の明確化
所要時間の短縮など、整備による効果が見込めること。目安として、費用便益比(費用対効果)が1以上であることが望ましい。
④JRの同意
新幹線の経営主体となるかどうかはJRの判断によるため、事前にその同意を得る必要がある。
⑤並行在来線に関する自治体の同意
新幹線開業に伴いJRから経営分離される並行在来線については、沿線自治体の同意が不可欠である。
これらの条件を踏まえて、与党PTによるルート決定(小浜・京都ルート)が2016年に決定されていましたが、決定後に浮上した懸念として、①地下水問題、②巨額の建設費、③自治体負担などがあげられ、再度、関係自治体の理解や、現在の物価高騰に伴う建設費の試算などが行われています。
そのままでいいのではないのか?
敦賀止まりになるデメリットとして、敦賀駅にて乗り換えが発生してしまいます。敦賀駅の乗り換えについては、経験した方ならわかるのですが、3階に到着した北陸新幹線から降りて、1階で待っている特急サンダーバード、特急しらさぎに乗り継ぎをしないと、京都・大阪方面、米原・名古屋方面へ行くことが出来ません。つまり乗り換えが面倒であり、所要時間の短縮になりません。
あらためて北陸新幹線のルートを図で見てみると

北陸新幹線が敦賀までしか来ておらず、敦賀から先、『京都・大阪』、『米原・名古屋』方面には在来線を使用しないと行けなく、毎回敦賀駅にて乗り換えが発生してしまいます。
現在の「小浜・京都ルート vs 米原ルート」

小浜・京都ルート | 米原ルート | ※舞鶴ルート | |
所要時間(敦賀~新大阪) | 約 43分 | 約 1時間7分 | 約 1時間 |
費用対効果(1.0以上) | 1.1 | 2.2 | 0.7 |
延長距離 | 約 140㎞ | 約 50㎞ | 約 190km |
建設費 | 約 2兆700億円 | 約 5900億円 | 約 2兆5000億円 |
工事期間 | 約 15年 | 約 10年 | 約 15年 |
※費用対効果、建設費、工事期間については国土交通省の検討結果を表示していますが、今後変更になる予定です。
「米原ルート」の問題点
米原駅については、新幹線部分はJR東海、在来線部分はJR西日本が管轄しており、北陸新幹線(JR西日本管轄)が米原ルートを選択した場合、JR東海とJR西日本の間で利害調整を行う必要があります。
また、新幹線の米原駅から東海道新幹線に「乗り入れる案」と、米原駅にて「乗り換える案」があり、東海道新幹線の運行ダイヤの過密化(東海道新幹線は、片道で最大1時間あたり19本運行しており、これは約3分に1本の間隔です。通勤ラッシュ時の在来線とほぼ同じ頻度で列車が走っている計算になります。)から、「米原からの乗り入れは難しい」と懸念を示しています。そのため、必然的に米原駅での乗り換えが必要となります。つまり、乗り換え回数は変わらず、所要時間の短縮も10分程度しかないためあまりメリットないところが問題点になります。
引き続き、敦賀以西に関する問題の他に、北陸新幹線の情報を発信していきます。
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